引継ぎはどこまでしなければいけないのか。

退職するなら引継ぎを完璧にしてから退職しろ。
もしくは、引継ぎをしない場合はやめさせない。
上記のようなことを言われたことはあるでしょうか?

私は言われたことはないのですが、
ノウハウ0、手順書もない状態からやり方を1人で探して、
トライ&エラーを繰り返し、辿りついた答えと情報を簡単にすべて渡すのはなんとなく嫌だったので、
引継ぎは"どこまで"しなければならないかを調べたのでまとめておきます。

業務の引継ぎを一切しなくても円満退職となる可能性もありますが、基本的には円満退職にはならない方向性のページであることはご了承ください。

それで引継ぎは必須なの?

結論からいうと、そもそも引継ぎをすることは必須ではありません!
引継ぎをしないことにより、退職できないなんてこともありません!
引継ぎのために退職後に出社する必要もありません。

ちなみに、引継ぎは強要されるものではなく、お願い(懇願)されてするものです。
本来であれば引継ぎなどなくても組織というものは円滑に回ってしかるべきであり、
引継ぎが必要な場合、その会社が引継ぎを行ってもらえるように努力する必要があったのです。

法律の観点から

まず、日本国憲法18条で「奴隷的拘束」を禁じ、22条で「職業選択の自由」が認められています。
つまり、引継ぎをしないことにより退職を先延ばしにされることは禁止され、
労働者側からの一方的な退職は原則として自由なのです。

ただし、法律上では退職の意思は退職の2週間前までに伝える必要があるので、それに順ずることにはなります。
※雇用の形態(期間の定めがあるかないか)などでこのルールは若干異なる可能性があります。

退職の意思を示してから基本的に2週間は退職のために必要な期間となりますが、
引継ぎは必須ではないため、2週間を有給で消化しきっても問題はありません。
こういったページにたどり着いている場合、有給も貯まっていることでしょう。

ちなみに、退職届けを受理してくれないから退職できないなどの問題を抱えている方もいるでしょうが、それは幻想です。
退職に会社の許可は必要ありません。

引継ぎを本当にしなくても大丈夫?

引継ぎをしないことにより会社から訴えられてしまうのかは不安でしょうが、
・引継ぎ自体の拒否の場合
 (1)その損害と引継ぎをしていないことの因果関係
 (2)その損害額はどれくらいなのかを算定する
会社は上記2点を立証する必要があり、いざ訴えた場合でも裁判費用でマイナスになる可能性のほうが高いため、
ほとんど訴えられることはないと思います。

・引継ぎが不十分であった場合
完全拒否とは違い、少なくとも引き継ぎ自体はしているので、損害賠償が認められることはほとんどないようです。

 

ただし、以下のような明らかに金銭的な不利益を与えてしまうような場合は、損害賠償の対象となってしまう可能性があることは注意してください。
(1)プログラムなどに明らかに悪質なバグを仕込んだ。
(2)業務遂行に必須なファイルのパスワードを展開しなかった。

つまり、最低でもパスワードの周知等はしておく。余計な損害を出すようなことはしない。を守れば問題ないでしょう。

引継ぎは必要ないとわかったところで

引継ぎは必要ないとは言っても、無断欠勤はさすがにまずい(訴えられてしまう可能性を考慮します)ので、どうしても引継ぎしたくない場合は一言有給を取得する旨を告げてから快適な有給消化をしましょう。

 

ちなみに私の場合は、引継ぎをすべて拒否したいわけではなく、
業務上で私が試行錯誤の上、やっと知りえた一部の知識を簡単に渡したくなかっただけなので、普通に引継ぎ自体はしました。

 

以上。ありがとうございました!