「みなし失業」とは?企業、労働者どちらにもメリットがある!

 

 

2020年、コロナウイルスの蔓延により、世界的に経済がかなり落ち込んでしまいました。

日本でも蔓延防止のため、企業、一般人に自粛を呼びかけているが、いつ終わるかもわからない自粛ムードにより、全国民が疲弊する状態となっています。

 

企業の営業停止などにより、長期的に"休業"せざるをえない状態となり、収入が激減してしまう労働者の生活を守ることが必要であり、急務でもありました。

 

そんななか、5月8日の会見で、政府が「みなし失業」の検討に入ったということがわかりました。

 

ここではこの「みなし失業」というものに関して解説していこうと思います。

 

 

 

 

 

みなし失業とは?

 

通常の失業給付は離職票をもって離職とみなし、国が失業した求職者に対して次の仕事を見つけるまでの生活を安定させるために給付するものです。そして、「みなし失業」とは文字通り実際に失業はしていなくても失業とみなし、労働者が国から失業給付を受給できるようにするといったものになります。

申請方法も簡単で、離職票の代わりに休業票を提出して手続きをすればいいようです。

 

また、休業による休業手当は、原則的に企業が労働者に対して支給するものです。

しかし、会社が支払う手当のため「会社が支払いません。」と言ってしまえば、労働者は休業手当を受取れなくなるし、営業自粛で利益も上らない中での休業手当の支給は企業にとってはただの負担となってしまいます。

実際には「雇用調整助成金」という、企業が労働者に支給した休業手当などの一部、または全額を補償するといった制度があるのですが、申請手続きが煩雑であったり、支給にかかる時間がネックとなりあまり機能していないというのが残念ながら現状のようです。

 

「みなし失業」は労働者個人が申請をし、失業給付が直接個人に支給されるため、長期的な休業の生活安定に効果があると期待されます。

これに関しては"特例"となるので、永続的なものではないようですね。

 

 

みなし失業のメリットとは?

 

企業側からしたらまず、余計な経費がかからなくなるというメリットがあります。

休業手当を支払う必要がなくなるため金銭面での負担が減り、労働者を整理解雇をする必要もなくなるため雇用維持が容易となります。

「みなし失業」の場合は、労働者個人が国に申請するものであるため、こういった申請の手間を企業側が負うこともなくなるでしょう。

 

労働者側からしても、休業手当をいつまで支払ってくれるのか?また、整理解雇のために急に職を失う恐怖から解放されます。みなし失業による給付金は企業からの休業手当よりも低くなってしまう可能性もありますが、休業手当が急に打ち切られてしまうかもしれないくらいであれば、多少受給額は減っても失業給付のほうが安心だと思います。

 

このように「みなし失業」が適用されれば、企業、労働者双方にメリットが生じることになります。

 

 

みなし失業の問題点とは?

 

問題は、申請のための書類を企業側が発行する必要があること、みなしではあっても一時的に失業者となってしまうこと、悪用する企業が出てくるかもしれないこと、非正規労働者の保障についてです。

 

申請に必要となる書類の発行を企業が拒んでしまえば、もちろん労働者が給付を受取れなくなってしまうし、本来の失業手当には一定の条件(勤務期間など)が存在するため、本当の失業者となってしまった場合に失業の給付を受給できなくなってしまう可能性もあります。

また、この制度を悪用する企業が出てくる可能性もあり、非正規の労働者などにおいての考慮も必要となります。

 

間違いなく大きな効果を発揮できる施策であるため、こういった問題点に関しても柔軟な制度となるよう、検討していただきたいものです。

 

 

みなし失業は東日本大震災のときにも適用されていた

 

実際にこの「みなし失業」は東日本大震災のときにも適用されていたようです。

東日本大震災による大規模な地震、津波の影響により休業せざるをえなくなってしまった労働者が存在してしまいました。

そういった失業者を救済するために、この「みなし失業」が適用されたのですが、申請方法も離職票を提出する代わりに休業票を提出するといった簡単なものであったため、大きな効果を発揮したようです。

 

 

最後に

 

いつ終息するかもわからないコロナ恐慌、この制度により多少の光明が見えてくるのではないでしょうか。

終息した後、税金の引き上げなどのしわ寄せを受けてしまう可能性も拭いきれませんが・・・

 

「みなし残業」、「みなし失業」ときているので、働いているものとみなして給料を支払う「みなし労働」もぜひ検討してほしいですね!

 

以上。ありがとうございました!